ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも

2023年2月4日〜2月17日(日替わり上映)

現代ドイツを代表する映画監督、ヴィム・ヴェンダース。その作品の中心にあるのが、彼の代名詞ともいえるロードムービー。かりそめの出会いと別れを繰り返す彼らの旅は、迂回し、迷い、目的を失い、ときに引き返す。移動のなかから物語は紡がれ、それが“映画” となっていく。初期ロードムービー三部作をはじめ、代表作の『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』、日本を題材にしたドキュメンタリー、さらに本邦初の劇場公開となる『夢の涯てまでも』のディレクターズカット版と、ヴェンダースの魅力が詰まった珠玉の 10作品が監督自らの監修による最新マスターで一挙公開。

【特別料金】
一般:1,500円(その他通常料金)
〈2本目から〉
一般:1,300円/シニア・会員・ペア50:1,000円/障がい者・大学生:800円

〈『夢の涯てまでも』のみ〉
一律:2,000円/障がい者・大学生:1,500円/小中高生:500円
※途中休憩に、+300円で軽食をお出しします。(なるべくご予約をお願いします)


●『都会のアリス 2Kレストア版』
(1974/西ドイツ/1時間52分)
出演:リュディガー・フォグラー/イェラ・ロットレンダー/リザ・クロイツァー

アメリカでの仕事がうまくいかずドイツに帰国しようとした青年フィリップは、空港で足止めをくらい、そこで同じくドイツへ帰国しようとしていた母娘と出会う。母親リザは、一方的に娘アリスを彼に託して姿を消してしまい、途方にくれた二人は、アリスの記憶を頼りに彼女の祖母を訪ねる旅へと出発する。道中の二人の何気ない仕草やユーモラスな会話も本作の魅力となっている。


●『まわり道 4Kレストア版』
(1975/西ドイツ/1時間43分)
出演:リュディガ-・フォグラ-/ハンナ・シグラ/ナスターシャ・キンスキー

母親と二人で暮している作家志望の青年ヴィルヘルム。何も書くことができないでいた彼は、母親の勧めで作家としての才能を見出すため旅に出る。道中、芸人ラエルテスと少女のミニョン、女優のテレーゼ、放浪詩人ベルンハルトたちと出会いゆきずりの旅をともにする。何ら共通点のない彼らが様々な事を語り合い旅を続けるなかで、意外な過去が明らかになり、思いもよらない事態へと展開していく……。


●『さすらい 4Kレストア版』
(1976/西ドイツ/2時間55分)R15+
出演:リュディガー・フォグラー/ハンス・ツィッシュラー/リザ・クロイツァー

大型ワゴンに乗り、フィルム運びや映写技師の仕事をしているブルーノは、ある朝、‟カミカゼ”のように猛スピードの車で河に突っ込んだ男ローベルトと出会う。意気投合した二人は旅をともにし、男の友情と出会いの物語が紡がれる。ロードムービー三部作の完結編となる本作は、スタッフが実際に旅をしながら撮影する即興演出を採用し、ヴェンダースが国際的に注目を浴びるきっかけとなった。


●『アメリカの友人 4Kレストア版』
(1977/西ドイツ・フランス/2時間6分)
出演:デニス・ホッパー/ブルーノ・ガンツ/リザ・クロイツァー

贋作をさばくアメリカ人画商のリプリーは、オークション会場で額縁職人ヨナタンと出会う。彼が病で余命いくばくもないことを知ったリプリーは殺人の仕事を紹介し、妻子のために金を残したいヨナタンは依頼を引き受ける。贋作画家を演じるニコラス・レイをはじめ、サミュエル・フラー、ジャン・ユスターシュ、ダニエル・シュミットなど、ヴェンダースが敬愛する映画監督陣が脇を固める。


●『パリ、テキサス 2Kレストア版』
(1984/西ドイツ・フランス/2時間28分)
出演:ハリー・ディーン・スタントン/ナスターシャ・キンスキー/ハンター・カーソン

荒野をさまよっていた男がガソリンスタンドで気絶する。記憶を失った男の持ち物を手がかりに連絡を受けたウォルトだが、男は4年前に失踪した兄トラヴィスだった。彼はテキサス州パリの荒野に所有しているという土地に向かおうとしていた。少しずつ記憶を取り戻したトラヴィスは、息子とともに妻を捜す旅に出るが……。雄大な風景とライ・クーダーによるスライドギターの音色が哀愁を誘う。


●『東京画 2Kレストア版』
(1985/西ドイツ・アメリカ/1時間32分)
出演:笠智衆/厚田雄春/ヴェルナー・ヘルツォーク/クリス・マルケル

1983年4月、東京で開催されたドイツ映画祭のために来日したヴェンダースは、小津安二郎の描いた“東京”を探して街をさまよい歩く。撮影のエドワード・ラックマンと録音のヴェンダース二人だけの旅は、パチンコや竹の子族、食品サンプルなど当時の“日本的”なる風景を写し、『東京物語』主演の笠智衆、小津組の名カメラマン厚田雄春との対話を通して、小津の“東京”と、近代化した当時の東京を描き出す。


●『ベルリン・天使の詩 4Kレストア版』
(1987/西ドイツ・フランス/2時間8分)
出演:ブルーノ・ガンツ/ソルヴェーグ・ドマルタン/オットー・ザンダー

天使ダミエルは、人々の心の声を聞き、彼らの苦悩に寄り添っている。ある日、孤独を抱えたサーカスの舞姫マリオンに出会い、彼女に恋をしたダミエルは、天界から人間の世界に降りることを決意する……。壁崩壊以前のベルリンを舞台に、天使の世界をモノクロ、人間の世界をカラーで表現した映像美と、後にノーベル賞作家となるペーター・ハントケによる詩的な脚本で紡がれる壮大な映像詩。


●『都市とモードのビデオノート 4Kレストア版』
(1989/西ドイツ・フランス/1時間21分)
出演:山本耀司/ヴィム・ヴェンダース

パリ、ポンピドゥー・センターからの依頼により、‟黒の衝撃”で世界を席巻したファッションデザイナー、山本耀司のパリ・コレクションの準備過程を追ったドキュメンタリー。旧型のフィルムカメラとビデオカメラが入れ子状に組み合わされた大胆な構成と、監督との対話によって、山本耀司の服作りからファッションに対する真摯な姿勢が紡ぎ出される。


●『夢の涯てまでも ディレクターズカット 4Kレストア版』
(1994/ドイツ・フランス・オーストラリア/4時間47分)
出演:ウィリアム・ハート/ソルヴェイグ・ドマルタン/サム・ニール

1999年、制御不能になった核衛星の墜落が予測され、世界滅亡の危機に瀕していたなか、ヴェネチアからあてもなく車で旅に出たクレアは、お尋ね者のトレヴァーと運命的に出会う。目的不明の旅を続けるトレヴァーに惹かれたクレアは後を追うが、彼は父親が発明した装置を使って世界中の映像を集め、盲目の母親の脳に送り込もうとしていた……。世界を股にかけて繰り広げられるSF大作の完全版。

※途中休憩あり


●『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
(1999/ドイツ・アメリカ/1時間45分)
出演:ライ・クーダー/イブライム・フェレール/ルベーン・ゴンザレス

ライ・クーダーがキューバ音楽の巨人たちと創り上げたアルバム 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は大ヒットを記録し、1997年グラミー賞を受賞した。ヴェンダースは、キューバを再訪するライ・クーダーの旅に同行し、クラブのメンバーとの交流を記録する。色彩が溢れ情緒豊かなハバナの街並みと、語られる面々の生い立ち。そして彼らは音楽の殿堂カーネギーホールでの公演に臨む……。

上映期間 2023年2月4日〜2月17日(日替わり上映)
監督 ヴィム・ヴェンダース
公式サイト https://wenders-retrospective2021.com