アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映
2022年12月31日~2023年1月6日
ストップモーション撮影の国宝的作品たちが、4K修復版で美しくよみがえる!
優れたアニメーション作家にスポットをあて、その素晴らしい作品を最新の技術で修復・発掘することを目的としたWOWOWプラス(旧IMAGICA TV)の「アニメーションの神様、その美しき世界」シリーズ。第一弾として2017年にロシアのユーリー・ノルシュテインを取り上げ、全国で上映し大好評を頂きました。
今回、その第二弾・三弾として、日本のアニメーションの発展に大きく貢献した二人の映像作家・川本喜八郎(1925-2010)と岡本忠成(1932-1990)の特集上映を行います。いずれもノルシュテイン同様、ストップモーション撮影(コマ撮り)による立体アニメーションの分野で比類なき功績を残した世界的巨匠であり名匠です。
川本はストップモーションアニメの先進国チェコでイジー・トルンカに学び、国際的に評価される数々の傑作を残したほかTVの歴史人形劇や海外との合作でも知られています。
一方、岡本は木・皮・布・毛糸・紙・粘土など多様な素材を用いて、主に子ども向け作品の分野で斬新な表現を追求し続けました。川本が能・文楽・日本画の様式を用いて、人の心の闇を幽玄の美の極地から描く作風とするなら、岡本は民話・民芸品・唄・方言などを組み合わせ、ユーモアに溢れつつも心に染み入る温もりを感じさせる作風といえるでしょう。それぞれ日本文化の典型性と民俗性を表現した稀有なアニメーションであり、それゆえに世界に誇れる文化遺産です。
2020年に川本の没後10年、岡本の没後30年を迎え、作家・作品の歴史的価値を再評価・継承するタイミングとしても絶好の機会です。上映するのはそれぞれの代表作5本ずつ合計10本・2プログラムで、全ての作品が日本の最新技術による4Kデジタル修復版となります。ぜひ、映画館であなただけの“アニメの国宝”を発見してください。
●川本喜八郎5作品(1時間20分)
『花折り』
[1968年/14分]
桜が美しく咲きほこる境内に、留守番を申し付けられた小坊主がひとり。外を通りかかった大名・太郎冠者の酒盛りに惹かれてイタズラをするうちに、見事に酔いつぶされて桜の枝を持っていかれてしまう。そこへ住職が帰ってきて…。
『鬼』
[1972年/8分]
「今昔物語」の中の「猟師の母鬼になりて子を噉(く)はむと擬するものがたり」に想を得た作品。寝たきりの母の世話をする2人の息子。彼らは鹿わなを仕掛けるために、夜遅くに森へと向かう。森の中で、人ではない何かに襲われた二人は胸騒ぎを覚え母が待つ家へと急ぐ。そこで二人が見たものとは?
『詩人の生涯』
[1974年/19分]
工場を解雇された青年は仲間を励ますビラを配る。老母は、内職の糸車に紡がれて糸となりジャケツに編まれてしまう。冬、工場の門前で凍り付いていた青年の雪像に母のジャケツがかぶさった。甦った時、青年は突然自分が詩人である事に気付く。
『道成寺』
[1976年/19分]
熊野参詣の旅を続ける若い僧は、一夜の宿を願い出る。その家の未亡人は僧に一目ぼれするが、信心深い僧はこれを拒み、帰りに迎えにくると嘘をついて出立してしまう。約束した日に戻らない僧に裏切られたと知るや、未亡人は蛇に姿を変え僧の後を追う。そして道成寺の釣り鐘に隠れた僧を恨みの炎で焼き殺し、自らも命を絶つ。
『火宅』
[1979年/19分]
旅の僧が生田の里にあるという求塚を探して歩いていると、ひとりの里女が塚まで案内してくれ、そのいわれを語り始める。ふたりの男に求愛された莵名日処女(うないおとめ)は、どちらも傷つけるに忍びず、入水して死を選ぶ。それを知った男たちは己を責め、悲しみ、お互いに刺し合って相果てる。話を聞いた僧は、哀れに思い読経をあげるが、処女は死してもなお二人の魂に苛まれ、地獄の炎に焼かれ続ける。
●岡本忠成5作品(1時間17分)
『チコタン ぼくのおよめさん』
[1971年/11分]
チコタンが好きな訳をあれこれ考え、子供ながらに気持ちのやり場に悩む“ぼく”。勇気を出してチコタンのためなら嫌いな勉強もするし、いたずらもやめると告白するが、家が魚屋だから、魚の嫌いなチコタンにふられてしまう。そこで、エビとカニとタコの好きなチコタンのために、それだけを売る魚屋にすると言うアイデアで、見事“ぼく”はチコタンからOKをもらうのだが、思いがけない不幸が待ち受けていた。
『サクラより愛をのせて』
[1976年/3分]
満員電車の中でふんぞりかえって足を組んでいる男。汚い靴の裏が他人の服に当たって汚している。そこで登場したのが花束を抱えたグラマーな中年のオバちゃん。電車が曲がり角に差し掛かるとオバちゃんは男の上に倒れかかる。オバちゃんは、男をいじめるいろんな仕掛けを隠し持っていた。
『虹に向って』
[1977年/18分]
源次とおりつは、信濃の国の深い谷に隔てられた2つの小さな村でそれぞれ育ったが、川を挟んで向き合ううちに、いつしか惹かれ合うようになっていた。ある日、川に架かる虹に誘われるように川下におり、二人は初めて会うことができた。あの虹のように村を結ぶ橋を作ろう、そう誓い合い、建設費を工面するため身を粉にして働くのだった。
『注文の多い料理店』
[1991年/19分]
猟に出たのはいいが、山奥で道に迷ってしまった二人のハンター。霧の中、二人は「山猫軒」という西洋料理店にたどりつく。一息つけると二人は安堵するが、店内に入るや「身なりをきれいにしてください」や「銃と弾をおいてください」などの細かい注文を次々と要求される。
『おこんじょうるり』
[1982年/26分]
東北のある村にイタコの婆さまがひとり住んでいた。ある夜、子供もおらず、もう半月もひとりで寝たきりになっている婆さまの家に、腹を減らした狐が山から迷い込んできた。力が衰えてしまった婆さまには狐を追い払う気力もない。それどころか今まで散々狐をいじめてきた罪滅ぼしにと、家中の食べ物を狐に食べさせようとするのだった。狐はその恩返しにと、浄瑠璃を歌い始める。
上映期間 | 2022年12月31日~2023年1月6日 |
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公式サイト | https://www.wowowplus.jp/anime_kamisama2-3/ |