拳と祈り ―袴田巖の生涯―

2024年11月16日~11月22日

「拘置をこれ以上継続することは、耐え難いほど正義に反する」(静岡地裁)
釈放当日——。世紀の瞬間の舞台裏を撮った、1台のカメラがあった。

2014年3月、東京拘置所。死刑囚の袴田巖さんが、突如釈放された。1966年6月に静岡県で味噌会社専務一家4人が殺害され、放火された事件の犯人とされ、47年7ヶ月もの獄中生活を送ってきた。明日突然、死刑が執行されるかもしれない。そんな恐怖の日々をくぐり抜け、30歳の青年は78歳になっていた。着の身着のままワゴン車で東京拘置所を後にした時、本作監督の笠井千晶が助手席でまわすカメラが捉えたのは、まるで夢から覚めたような袴田さんの表情だった。死刑囚が再審開始決定と同時に釈放されるという、驚くべき事態を当日のニュースは劇的に報道した。その夜、半世紀近く引き裂かれていた姉と弟が枕を並べた。拘置所の壁に隔てられ、想像を絶する苦難を生き抜いたものの、奪われた時間は戻らない。なぜこれほどの試練が与えられなければならなかったのか。言葉にしがたい悲しみや喪失を2人の寝息が静かに包み込む。さらに続くことになる司法との闘いを覚悟しながら、カメラは2人の生活を記録し、対話を重ね、袴田さんの心の内面深くに迫っていく。


10月19日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

(C)Rain field Production

上映期間 2024年11月16日~11月22日
上映時間 2時間39分
監督 笠井千晶
出演 袴田巖/袴田秀子
制作国 日本
制作年 2024
公式サイト https://hakamada-film.com/