『ケリー・ライカートの映画たち』降矢聡さんリモートトーク〈詳細〉

2021年10月17日(日)

『ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ』
今特集上映を企画・運営された「グッチーズ・フリースクール」降矢聡さんによる
リモートトークイベント開催!

「現代アメリカ映画の最重要作家」と呼ばれるケリー・ライカート監督
今回の特集上映を企画された意図や、監督・作品の魅力をお話していただきます!

2021/10/3(日)
作品:『オールド・ジョイ』
上映:12:10~
リモートトーク:13:30頃
ゲスト:降矢聡さん
会場:ほとり座シネマホール

2021/10/17(日)
作品:『ミークス・カットオフ』
上映:15:00~
リモートトーク:16:50頃
ゲスト:降矢聡さん
会場:ほとり座シネマホール

※シマフィルム田中誠一さんは、事情により不参加となりました。



降矢聡(ふるや・さとし)

映画上映団体グッチーズ・フリースクール主宰。雑誌「ムービーマヨネーズ」企画・編集。DVD&動画配信でーたにてコラム、キネマ旬報にて星取レビューを連載中。編著に『USムービー・ホットサンド 2010年代アメリカ映画ガイド』(フィルムアート社)、共著に『映画を撮った35の言葉たち』、『映画監督、北野武。』(ともにフィルムアート社)、『映画空間400選』(INAX出版)。そのほか、映画雑誌やプログラム等に映画評を執筆している。



ケリー・ライカート Kelly Reichardt

1964年、アメリカ・フロリダ州出身。犯罪捜査官の父、麻薬捜査官の母の元に生まれる。幼いころから写真に興味を持ち始め、父親の犯罪現場用カメラを使い始める。と同時に、放置された証拠品袋から取り出し、初めてマリファナを吸う。
School of the Museum of Fine Arts at Tufts University出身。在学時に何も知らずにサタジット・レイとライナー・ヴェルナー・ファスビンダーについての授業をとる。ファスビンダーの映画を初めて見た際に「とてもパーソナルな映画でありながら、同時に政治的な一面を持っていて、こんな映画が作ることができるのかと、衝撃を受けました」と語る。その後、スーパー8mmフィルムでMVを制作。1988年にニューヨークに引っ越し、ノーマン・ルネ監督『ロングタイム・コンパニオン』(89)などに美術として参加。ハル・ハートリー監督『アンビリーバブル・トゥルース』(89)、トッド・ヘインズ監督『ポイズン』(91)では美術を担当するとともに一部、出演もしている。

長編デビュー作『リバー・オブ・グラス』(94)は、自身の故郷である、フロリダ州マイアミ・デイド郡で撮影。ボストン・グローブや、フィルム・コメントなどが年間ベストに選出した。ハーマン・ローチャーの小説“ODE TO BILLY JOE”を再解釈した、次作“Ode”(99)は50分の中編。自身でカメラマンも兼任し、スーパー8mmで撮影。後の『オールド・ジョイ』と同じく、ヨ・ラ・テンゴとウィル・オールダムのオリジナルサウンドトラックで構成されている。
2002年制作の“THEN A YEAR”は、ポートランドで撮影を敢行。実際の犯罪番組からコラージュされたボイスオーヴァーを使用したり、2004年に制作した“Travis”では、息子をイラク戦争で亡くした母親のNPRのラジオインタビューの素材を使用した。2006年に『オールド・ジョイ』を監督。翌年、サンダンス映画祭でプレミア上映され、ロッテルダム国際映画祭のタイガー・コンペティション部門で受賞した初めてのアメリカ映画となった。『オールド・ジョイ』以降、『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』(2016)以外の全ての作品をオレゴン州で撮影している。

ポン・ジュノが「映画史に名を刻むべき最も美しいオープニングシーンのひとつ」と評した長編三作目となる『ウェンディ&ルーシー』(2008)は、ミシェル・ウィリアムズがオンライン映画批評家協会賞などいくつかの映画祭で主演女優賞を受賞した他、自身も数多くの賞にノミネート。また『オールド・ジョイ』に引き続き出演した、ライカートの愛犬ルーシーはカンヌ国際映画祭でパルム・ドッグを受賞。次作の『ミークス・カットオフ』(2010)ではフランスのカイエ・デュ・シネマで年間ベスト10に選出。ジェシー・アイゼンバーグ、ダコタ・ファニングをキャスティングした『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』(2013)は、前作に続き、ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出される。
『ライフ・ゴーズ・オン』に出演したクリステン・スチュワートは、「普通の監督が映そうとする、ある出来事に対して、彼女はその出来事が起こるまでの瞬間を描き出す監督です。(人々を意図的に楽しませようとか、何かをでっちあげようとかせず、)我々には予測が出来ない、コントロール出来ない何かを、彼女は映し出そうします。私はそんな彼女の映画が大好きです」と評している。

2019年にリリースされた“First cow”はインディペンデント映画でありながら、ニューヨーク映画批評家協会賞を受賞した他、数々の映画賞にノミネート。「オスカー候補」と名高かったが、ノミネートには至らず。その結果に疑問を呈する多くの批評家たちがいた。本作はライカートの“メンター”であった映画監督のピーター・ハットンに捧げている。

彼女は現在、コロンビア大学、ニューヨーク大学等で教鞭を執り、現在はバード大学でアーティスト・イン・レジデンスとして在籍中。 最新作の“Showing Up”は、ミシェル・ウィリアムズを主演に迎え、前作に続きA24が製作を務める。